垂直構造物点検における螺旋航路(スパイラルパス)の幾何学的考察
煙突、橋脚、電波塔などの円筒状・垂直構造物をUAVで点検する際、データの連続性と高度方向の重複率(オーバーラップ)の確保は、SfM(Structure from Motion)解析の安定性を左右する重要因子である。 本稿では、螺旋航路の幾何学的定義からピッチ算出、Mavlinkミッション実装までを数式ベースで整理する。
1. 螺旋航路の幾何学的定義
半径 R を一定に保ちつつ、回転角 \( \theta \in [0, 2\pi n] \) に比例して高度を上昇させる軌道を螺旋航路と定義する。 ここで n は総回転数である。
ここで:
- R:構造物中心からの離隔距離
- h:1回転あたりの上昇量(ピッチ)
- H:対象構造物の総高さ
必要回転数は \( n = H/h \)、最終高度は \( Z_{max} = H \) となり、この連続的上昇により、ステップ式点検(階層移動)で生じやすい撮影帯の不連続を物理的に排除することが可能となる。
2. オーバーラップ率とピッチ算出
垂直方向視野角を \( \phi_v \)、離隔距離を R とすると、1枚あたりの垂直方向撮影範囲 \( L_v \) は次のように近似される。
目標とする高度方向重複率を \( \eta \) とすると、設計すべきピッチ h は以下の式で決定される。
実務においては、重複率を高める(\( \eta \uparrow \))ほどピッチが細かくなり、回転数が増大することでミッション時間は延びるが、点群密度と再構築精度は向上する。
3. Mavlink準拠ミッションへの実装
螺旋軌道はMavlinkミッションにおいて、離散ウェイポイント列として実装される。角度分解能を \( \Delta\theta \) とすると、必要ウェイポイント数 N は
\( \Delta\theta \) が大きいと多角形近似による離隔距離の変動(インコースへの食い込み)が無視できなくなるため、機体の制御応答性と許容される誤差範囲に基づき最適化を行う必要がある。
← ツール一覧へ戻る